7月12日(土)、アジア民衆史研究会2025年度総会および第1回研究会を開催いたします。
今回も会場・オンラインのハイブリットでの開催です。
ご参集のほど、よろしくお願いします。
概要
日にち:2025年7月12日(土)
時間:11:00~11:30 総会、13:00~17:10 研究会
場所:早稲田大学早稲田キャンパス22号館 5階 508教室、およびオンライン開催(Zoomを使用します)
主催:アジア民衆史研究会
総会次第
- 2024年度活動報告および2025年度活動計画
- 2024年度会計決算および2025年度会計予算
第1回研究会
報告者(タイトルは仮)
金澤佳音「加茂一揆後期段階における一揆勢の行動論理 ──足助打ちこわしにみる──」
天保期に甲州騒動と並んで幕藩領主に大きな衝撃を与えた三河加茂一揆は、「鴨の騒立」にみられる、一揆勢による「世直し神」の自称や役人をも恐れぬ口利きが注目され、一揆の伝統の崩壊を象徴するものとして捉えられてきた。しかし、一揆の作法や暴力の位置づけをめぐる研究が進展してきた近年の百姓一揆研究の動向をふまえて加茂一揆を見つめなおすと、打ちこわしという実力行使の段階においても作法を遵守し、明確な打ちこわし基準をもつ一揆勢の姿を発見することができる。こうした点から、19世紀の民衆運動の性質を展望するうえで、加茂一揆には再検討の余地が存在する。
本報告では、三河加茂一揆を、頭取辰蔵による村役人との交渉を主目標とした前期、足助打ちこわしを主目標として人数が膨れ上がった後期に分け、特に後期における一揆勢の行動論理について考察する。その際、拳母藩兵からの逃走後も一揆勢が集結し、二度目の足助打ちこわしにはじまって打ちこわしを継続していくことに注目する。そして、一揆勢・打ちこわし対象となる人々・領主権力の3つの視点から、段階的にその規模を拡大していく加茂一揆の性格についての再検討を試みる。
樋浦豪彦「日露戦争前後における「農村青年」論の諸相」
日露戦後において国家主導で進められた地方改良運動は、疲弊する農村の再建を目指す運動であった。この運動の徹底的な推進のために戊申詔書が渙発された。このことは国家による今まで抱合されていなかった厖大な農村の青年を掌握するための働きかけであった。以上の点はこれまで、政治、経済、教育など様々な分野から明らかにされてきた。しかし、以上の働きかけにおいてなぜ「農村青年」が運動の中心的な担い手に据えられたのかに関する思想的な側面は未だ十分に明らかにされていない。この側面を明らかにするために日露戦争を前後する時期の社会変容に位置付けながら、この時期に始められた「農村青年」論、「農村問題」の論じ方を軸に考察する。
本報告では第一に山本瀧之助による「農村青年」論の日露戦争前後における変遷を検討する。第二に「農村問題」を提起した高落松男による農村への働きかけに現れる「農村青年」と日露戦後における展開を検討する。以上の作業を通して「青年」と「農村」への問題関心がいかに結びつき、日露戦後において「農村青年」が発見されたのかを明らかにする。最後に、試みとしてこの時期の「農村青年」概念の多様な使われ方を検討する。
鶴森晃「戦時期大阪の朝鮮人工場労働者 ──職位「上昇」に着目して──」
戦時期大阪の朝鮮人工場労働者に関する従来の研究は戦間期~戦時期の労働状況の変化における戦時期の酷い差別や低賃金のみとりあげているものが多く、それが戦時期の朝鮮人工場労働者の多くは雑役などの周辺業務に就いていたという結論に繋がっていると推測される。これに対して本報告は戦間期~戦時期においてそのような側面だけでなく職位の一部「上昇」という点にも着目し、戦時期大阪の朝鮮人工場労働者の労働状況の変化を捉えることを主眼とする。この視点から本報告は昭和15年国勢調査結果原表を再検討し、戦時期大阪の朝鮮人工場労働者の多くは極度の人手不足により工場本体の労働(職工)に従事したという結論を新たに導き出した。
ただし軍需関係の熟練工などで戦時経済の恩恵にあやかった一部のものを除き、朝鮮人工場労働者の多くは「平和産業」から他の工業に移動を余儀なくされて底辺労働に従事し、民族的差別により朝鮮人工場労働者に対する新たな低賃金構造ができた。職位の「上昇」という側面に着目してすらも、歴史修正主義者が言うような人手不足によって朝鮮人労働者の賃金が高騰したとする説が誤っていることは無論である。
タイムスケジュール
- 13:00 開会挨拶、注意事項の説明
- 13:15 金澤佳音報告
- 14:35 樋浦豪彦報告
- 15:55 鶴森晃報告
申込方法
申込にはGoogleフォームを使用します。参加を希望される方は、下記URLをクリックし、Googleフォームにメールアドレス等をご登録ください。
総会への申し込み
総会は、会員のみご参加いただけます。
研究会への申し込み
どなたでもご参加いただけます。
https://forms.gle/c76b1FKLjkMTdn9J9
2025年7月11日17時までに招待メールをお送りいたします。
注意事項
- 皆様の参加形態の事前把握のため、会場参加であっても事前申し込みをお願いします。申込は前々日 7月10日(木)までにお済ませください。なお、会場参加で申し込まれた場合でも、当日にオンライン参加に変更することは可能です。。
- 報告者の研究成果を剽窃するなど、研究倫理に反する行為を行わないことを求めます。
- ホストが認めた者以外の録音・録画は禁止します。
- 会の運営に支障をきたすと判断した場合、ホストの権限で強制退出させる場合があります。
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