2016/12/24

澤井啓一さんが『日韓民衆史研究の最前線』評論文を歴研に寄稿されました

『歴史学研究』2017年1月号に、澤井啓一さんによるアジア民衆史研究会・歴史問題研究会編『日韓民衆史研究の最前線 新しい民衆史を求めて』に対する評論が掲載されました。「民衆史」を論じつつ、日本と韓国での異なった「通俗化」の様式という問題を提起する、鋭く、そして熱のある論考です。ぜひお手にとってご覧下さい。

『歴史学研究』2017年1月号 No.953

批判と反省

澤井啓一「夢から覚めて、人は何を想う──『日韓民衆史研究の最前線──新しい民衆史を求めて』の読後感想──」

アジア民衆史研究会・歴史問題研究会編『日韓民衆史研究の最前線 新しい民衆史を求めて』(有志舎、2015年)

目次

  • はじめに(深谷克己)
  • 第I部 方法論をめぐる葛藤
    • 一 メディアを利用しての民衆史研究(須田 努)
    • 二 民衆運動史研究の方法(趙景達)
    • 三 東学農民戦争に対する新しい理解と内在的接近(裵亢燮、鶴園裕・飯倉江里衣訳)
  • 第II部 多様な民衆像
    • 一 東学の布敎と儒敎倫理の活用(李京遠、趙景達訳)
    • 二 一八九四年 東学農民軍の郷村社会内での活動と武装蜂起についての正当性論理(洪東賢、伊藤俊介訳)
    • 三 甲午改革における警察制度改革と民衆の警察認識(伊藤俊介)
    • 四 足尾鉱毒反対運動指導者田中正造における「自然」(中嶋久人)
    • 五 民衆の徴用経験(佐々木啓)
    • 六 産業化初期の韓国における労働福祉制度の導入と労働者の対応(張美賢、金 鉉 洙 訳)
  • 第III部 マイノリティからの視点
    • 一 マイノリティ研究と「民衆史研究」(檜皮瑞樹)
    • 二 民衆の暴力と衡平の条件(張龍経、伊藤俊介訳)
    • 三 神戸の港湾労働者と清国人労働者非雑居運動(青木然)
    • 四 孤独な叫び(蘇賢淑、金鉉洙)
    • 五 「貞操」言説の近代的形成と法制化(韓奉錫、久留島哲 訳)
    • 六 奄美諸島における「周辺」型国民文化の成立と展開(高江洲昌哉)
  • 交流の歩み アジア民衆史研究会二五年の「回顧と展望」(鶴園裕・中西崇)
  • おわりに(中嶋久人)

2016/11/06

「身分」と「門中」から問う琉球・沖縄社会 2016年度第2回研究会のご案内

アジア民衆史研究会 2016年度第2回研究会を、以下の要領で行います。ぜひご参加ください。

「身分」と「門中」から問う琉球・沖縄社会

東アジアの近世・近代を島嶼社会琉球から考える


報告

山田浩世(沖縄国際大)「近世琉球社会の中の身分移動──庖丁人・医師・細工人などを中心として」

玉城毅(奈良県立大)「階層文化としての親族──琉球・沖縄史における地方役人層と一般の百姓」

コメント

松沢裕作(慶應義塾大)

長津一史(東洋大)

日時・会場

2016年12月17日(土)14時開始

早稲田大学 戸山キャンパス 34号館 151教室

事前のお申し込みの必要はありません。

お問い合わせ

アジア民衆史研究会事務局
popular.history.in.asia@gmail.com


趣旨文

これまで、アジア民衆史研究会は、運動史に主軸を置いた民衆史叙述を再考する形で民衆の様々な営みを歴史叙述としてどのように結実していくかを模索してきたが、2015年に論集を刊行し、一定の成果を提示することができた。こうした民衆史叙述の模索と軌を一にする形で、日本史の分野では、一国史を相対化する試みとして、中国史や朝鮮史との対話を通して東アジア近世論や近世近代移行期といった議論を通して歴史像を豊かにしてきた。ただし、改めて議論の射程を考えてみると、「小農自立」のように島嶼社会に適応できるのかどうか十分議論を深めたとはいえない状況もある。また、使用する用語についても、各地域社会に類似性は見られるが、その前提とする条件を再検討する必要も出てくるなど、理解を深めるための用語についても問題とする点が明らかになってきた。

今回の研究会は、かかる問題点を踏まえ、琉球に注目し、島津出兵後に琉球でも身分制と石高制に代表される「近世的編成」が行われたと説明されてきたが、島嶼社会である琉球では、はたしてこのような「近世的編成」がどのように展開してきたのか、また、それが近代社会の遺産として人々の生き方をどのように規定してきたのか。こうした点の理解を深める必要があると考えて企画した。

ここで簡単に琉球史研究の流れを振り返ると、1980年以降、高良倉吉・田名真之・豊見山和行・真栄平房昭ら先行世代によって切り開かれてきた「新しい琉球史像」も、その次の世代からの新たな試みもなされ、セカンドステージが模索されるようになった(民衆史からの先行世代の成果へのアプローチとしては、『民衆史研究』83号・84号がある)。もっとも、先行世代から第2世代に引き継がれている姿勢と言えば、日本史の枠で沖縄社会を測るのではなく、沖縄の実地を踏まえて、自前で沖縄を理解する概念を鍛え上げていこうとする姿勢といえよう。また、歴史学以外でも、文化の政治的影響(動態的文化把握)を意識した人類学(民俗学)の実践も現れており、「琉球・沖縄社会像」の描き方をめぐる活発な議論というものが起きている。「多様な民衆像をどう描くのか」を考えているアジア民衆史研究会において、沖縄で起きている、こうした真摯な試みに目を向け、アジア民衆史と名乗る、その「アジア認識」を再考し、東アジア社会の民衆の生き方を深めるための議論を、共にしていきたいと考えた。

特に、今回の研究会は、琉球王国の主体(主権)をめぐる研究や、「琉球処分」再考の動きが活発化し、国家としての琉球史像が高まる中で、遠景化された感のある琉球社会(身分制社会)の内実の問題に目を向けることにした。また、琉球社会内部に目を向けることで、その多様な権力交差の状態を確認し、なおかつ、静態的な理解にならない長期的な変貌を見極める必要があると考えた。今回の研究会は、かかる視点から議論をする場としても位置付けている。

そのため、本研究会では、山田浩世氏(沖縄国際大学)、玉城毅氏(奈良県立大学)をお呼びして研究会を開催することにした。山田氏には、従来の琉球身分論に抜け落ちてきた視点を絡め医師、庖丁人、細工人といった人々と身分移動が織りなす事例を通じて、どのような特徴を持つ近世社会が形成されていのかを報告してもらう。玉城氏は、士だけでなく地方役人層や一般百姓にも注目し、「家」や「門中」(父系の同一祖先を共有する血族集団)などが、政治権力を媒介にし、歴史的に形成されていく過程を分析していく。

山田報告は近世身分制の周辺部分に注目し、その「流動性」が体制維持に有していた歴史的意味付けについて考える。玉城報告は、不安定であった琉球の士身分が「家」の維持と永続を求めておこなった営為を人類学の手法から検討し、同様な動きが村の百姓層にもみられたことを提起する。
 このように、近世近代移行期の支配の重層性とそこに生きる民衆に注目し、生存基盤が流動的な島嶼社会の「生存戦略」(玉城氏の用語だと、家計戦術)などを議論することで、「差別辛吟」か、それとも「逞しく生きている」という二分論的に民衆像を分けるのではなく、二つの像を往還しながら、島嶼社会に生きる民衆の構造的主体性(関係的主体性)を明らかにしたいと考えている。

琉球史の現状と課題を共有し、知的対話を通して、東アジア社会の歴史展開を考えていく課題の発見を目指していきたい。それだけでなく、今回は、歴史学と人類学(民俗学)の対話を通して、お互いの方法論を確認し、認識を深める場所にしていきたい。

以上

2016/05/30

2016年度第1回研究会のお知らせ


アジア民衆史研究会2016年度第1回研究会を、以下の要領で行います。お誘い合わせの上、ふるってご参加ください。
 
日時  2016 年 6 月 25 日(土) 14:00

内容

  書評:アジア民衆史研究会・歴史問題研究所編
      『日韓民衆史研究の最前線−新しい民衆史を求めて−』(有志舎、2015年)

  評者:小川原宏幸氏・大月英雄氏


会場
  明治大学 駿河台キャンパス  グローバルフロント 3階 4031教室

研究課題番号26284105 基盤研究(B) 研究代表者 千葉大学 趙景達
「儒教的民本主義と国民国家建設」

※事前のお申し込みの必要はありません。


お問い合わせ
  〒1018301  東京都千代田区神田駿河台11
    明治大学情報コミュニケーション学部 須田努研究室
  Email:popular.history.in.asia [ at ]gmail.com
    http://assoc-asia.blogspot.jp/

 

2016/03/28

アジア民衆史研究会 規約改正のお知らせ

2015年11月22日、アジア民衆史研究会規約の全面的改正が総会にて承認され、2016年4月1日から発効することになりました。
アジア民衆史研究会 規約をご参照ください。

本会規約の改正履歴

2004年9月4日:原案承認

2004年9月4日に行われました幹事会において、ワーキンググループで作成した原案に修正を加え、ご承認頂きました。この修正案は、引き続き行われた総会において、
  • ワーキンググループに細かい字句の訂正を一任すること
  • 2004年11月発行の会報に掲載し、それをもって規約発効とすること
  • 発効後も会員の意見を広く募ること
以上三点について確認し、ご承認頂きました。

2004年10月30日:発行

会報第18号への掲載を以て発行しました。

2005年1月14日:改正

2005年1月14日に開催されました2005年度第2回幹事会および2005年度第2回総会におきまして、会計年度変更のための規約改正が承認されましたので、みなさまにお知らせいたします。

新会計年度:4月1日から翌年3月31日
  •   2005会計年度:2004年9月1日から2006年3月31日までに延長
  •   2006会計年度:2006年4月1日から2007年3月31日まで
尚、2006会計年度会費納入のお知らせは、三月末頃の発送を予定しております。

2015年11月22日:改正

2015年11月22日の第2回研究会の際行われました幹事会において、規約改正案が提出され、議論の上、承認されました。議論の中で若干の修正が加えられ、この修正を反映させた規約改正案が、引き続き行われた臨時総会において承認されました。

2016年4月1日:発効

本規約は、会報37号に掲載されました。次年度4月1日をもって発効します。